亡き養父の養子をやめたい時の手続きについて

遺言書や死後事務のご相談にのる中で、相続人の方についてお伺いすると、親が再婚をしていて、その親の養子になっている方がいられます。

 

その養親とあまり関係がなかった場合、最期にむけて関係を整理しておきたいと希望される方がいらっしゃいます。

 

また、その養親にご本人様と血縁関係のない子どもがいる場合は、ご本人様がお亡くなりになると、その方とは兄弟姉妹関係ということになるので、その方にも相続権が発生し、そのことについて、驚く方も多いです。

 

とりわけそのような血のつながりのない兄弟姉妹の方とほとんど関係がない場合には、その方との相続関係を解消したいと希望する方も多くいます。

 

養子離縁には、

 

・協議離縁

 

・調停離縁

 

・審判離縁

 

・裁判離縁

 

・死後離縁

 

というように種類がありますが、遺言者が高齢者の方の場合、養親もお亡くなりになられている場合が多く、その場合は、死後離縁の手続きをふむことになります。

 

死後離縁の手続きの流れは以下の通りです。

 

@死後離縁許可の申立て

 

A確定証明書の取得

 

B養子離縁届の提出

 

死後離縁許可の申立て

 

申立人の住所地を管轄する家庭裁判所に死後離縁許可の申立てを行います。調布や狛江、府中では立川の家庭裁判所になります。

 

費用は、収入印紙:800円分と裁判所と郵便でやりとりをする際に使う郵便切手代:立川裁判所の場合1634円分がかかります。

 

必要書類は、

 

・申立書

 

・申立人の戸籍謄本

 

・亡養親の戸籍謄本(除籍謄本)

 

です。申立ては、裁判所の窓口に必要書類を提出するか、郵送で送ることもできます。

 

申立てをすると、2−4週間くらいで照会書が届きます。照会書とは、本人が本当に自分の意思で離縁を希望しているかを確認する書類です。

 

照会書は届かない場合もありますし、必要に応じて参与員の聞き取りがあったりする場合があります。

 

審判がなされると、結果の連絡として、審判所謄本が届きます。

 

2週間は不服申し立て期間となりますので、その期間が修了して審判が確定することを待つことになります。

 

確定証明書の取得

 

確定証明書とは、審判が確定したことを証明する書類です。

 

一般的に審判書謄本が送られてくる際に確定証明書の請求書が同封されております。

 

この時に、確定証明書の請求をしておくと、2週間の不服申し立て期間が終わると、すみやかに確定証明書を送付してもらえます。

 

確定証明書は、養子離縁届をする際に必要となります。

 

養子離縁届の提出

 

養子離縁の届出とは、審判で養子離縁が許可されましたよ、ということを市役所に届出ることです。これにより養子縁組が解消します。

 

届け出る市役所は、本籍地か住所地の市役所です。

 

離縁届は、市役所で取得できますので、前もって入手しておくとスムーズです。

 

必要書類は、市役所によって異なることがありますが、調布市の場合、基本的には

 

・養子離縁届書

 

・戸籍謄本 ※本籍地以外の市役所で届出をする場合

 

・確定証明書

 

となります。

 

 

コラム すでに養親の氏で遺言書を作成してしまったのですが

すでに養親の氏で遺言書を作成した後に、養子離縁をして氏が変わったとしても、遺言書は有効です。

 

ただし、遺言執行・相続手続き開始の際に、変更証明書が必要になります。

 

変更証明書とは、氏名変更をたどることができる戸籍謄本・除籍謄本などです。

 

もし、養子離縁によって、氏が変わることによる不便を避けたいという方は、養子縁組の日から7年を経過した後に離縁した場合、離縁の日から3か月以内に市役所に届け出ることで、養子縁組中の氏を引き続き名乗りつづけることができます。