遺言書の有無を調べる方法はありますか

【質問】

先日、父親が亡くなり、相続手続きを開始したいのですが、まずは遺言書が有るか無いかを確認するところから始めると聞きました。
自宅を探しましたが、それらしいものは見つかりません。このまま遺言書がないと仮定して遺産分割協議を始めてもよいのですが、後々面倒なことになるのを避けるために最低限のことはやっておきたいと思っております。遺言書の有無を調べる方法はありますでしょうか。

 

【回答】

 

遺言書の有無を調べるために利用できる制度は2つあります。

 

@遺言検索システムの利用

 

A遺言書保管事実証明書の交付請求

 

@の遺言検索システムは公正証書遺言が公証役場で作成されていないか調べる方法です。

 

Aの遺言書保管事実証明書は自筆証書遺言を作成した際に、遺言書保管制度を利用していた場合に、法務局にその遺言書が保管されているかどうか調べる方法です。

 

遺言書保管事実証明書については、あくまで自筆証書遺言を作成した後、遺言書保管制度を利用していないと調べることができませんので、法務局でその確認を行って、遺言書が保管されていなかったとしても、もしかしたら、自宅のどこかか貸金庫などに保管されているかもしれません。

 

@の遺言書検索システムの場合、公正証書遺言は公証役場で作成され原本が保管されますので、遺言検索システムを利用すれば、必ず公正証書遺言が作成されたかどうかを知ることができます。

 

また、秘密証書遺言も公証役場にて作成しますが、原本は保管されません。ただし、内容を確認できないとしても、作成したという事実は公証役場に記録されますので、秘密証書遺言の有無自体を遺言書検索システムで確認することは可能です。

 

ここでは@の遺言検索システムの利用方法について解説していけたらと思います。

 

※Aの遺言書保管事実証明書について、詳しくはこちらをご参照ください。

 

遺言書検索システムの利用方法

 

遺言書検索システムの利用は公証役場で行います。全国どこの公証役場でも可能です。

 

公証役場に登録されている主な情報は以下の通りです。

 

遺言者の氏名・住所・生年月日

 

遺言書の作成日

 

遺言書の証書番号

 

作成した公証役場

 

遺言書検索システムを利用して、遺言書が作成された公証役場が分かれば、その公証役場で原本を閲覧するか謄本を請求して内容を確認することができます。

 

遺言書検索の請求ができる人

 

利害関係人であれば、遺言書検索の請求ができます。利害関係人とは、相続人・受遺者・遺言執行者などです。

 

また、利害関係人から委任を受けた代理人も請求が可能です。

 

遺言者が生存中の場合には、遺言者本人以外は請求することができません。

 

手続きの流れ

 

手続きの流れは以下の通りです。

 

●必要書類を集める

 

●公証役場の窓口で遺言書の検索をしたい旨を伝える

 

●申請書に記入をして必要書類を提出する

 

●検索結果が記載された書面を受け取る

 

●遺言書がある場合は遺言書が保管されている公証役場に謄本請求を行う

 

※遺言書の謄本請求についてはコラムもご参照ください。

 

必要書類を集める

 

必要書類は以下の通りです。

 

 

〇遺言者の死亡の事実を証明する書類

 

・除籍謄本・死亡診断書のコピー等

 

〇請求者が利害関係人であることを証明する書類

 

・相続人であることがわかる戸籍謄本など

 

〇請求者の身分を証明する書類:

 

・印鑑証明書(発行から3か月以内)および実印

 

・写真付きの本人確認書類(運転免許証など)及び認印

 

のどちらか

 

利害関係人の代理人が請求する場合は、上記の書類に加えて、

 

〇代理人の身分証明書

 

〇委任状(請求者の実印が押印されているもの)

 

〇請求者の印鑑証明書(発行から3か月以内)

 

が必要になります。

 

費用

 

遺言書の検索:無料

 

遺言書原本の閲覧:200円

 

遺言書の謄本交付請求

 

・遺言書のページ数×250円

 

・認証手数料:2500円 ※郵送請求の場合

 

 

所要時間

 

遺言書の検索:大体20-30分くらい

 

遺言書の謄本請求

 

注意点

 

注意点は以下の通りです。

 

●遺言書の検索は郵送請求できないので必ず公証役場の窓口に行く必要がある

 

●確認できるのは平成元年以降に作成された遺言書の情報である

 

●遺言者の死亡直前に作成された遺言書については、システムに反映されていない可能性があるので、時間をあけて検索する

 

●遺言者の生存中は、遺言者本人以外は、検索や謄本の請求ができない

 

●遺言書が無いことを他の相続人に示したい時は、遺言書作成の記録が無い旨の記載された書面を交付してもらう

 

 

健康上の理由や平日に公証役場に行けないなどの理由で公証役場に直接出向くことができない場合は、委任状を作成して代理人に請求してもらうことをおすすめします。

 

その際は、遺言書の検索とともに、遺言書の謄本請求についても委任事項に含めておくと、すべて代理してもらうことができるので便利です。

 

ちなみに直接窓口に出向く場合に予約は必要ありませんが、事前に公証役場に連絡を入れて遺言書検索について確認をしておくとよいと思います。

 

そして、お昼休みの時間帯や最終受付時間に注意をして訪問するようにしましょう。

 

コラム 遺言書の謄本を郵送で請求する場合

遺言書検索システムを利用して、遺言書が作成された公証役場がわかれば、その窓口に出向いて原本を閲覧するか謄本の交付請求を行って内容を確認することができます。

 

遺言書の謄本交付請求を窓口で行う場合の必要書類は、遺言書検索システム利用時と同様です。

 

また、遺言書が作成された公証役場が遠方であれば、郵送請求をすることも可能です。

 

ここでは遺言書の謄本交付請求を郵送でする場合の手続きについて解説しておきます。

 

手続きの流れ

 

手続きの流れは以下の通りです。

 

●最寄りの公証役場で「公正証書謄本交付申請書」の署名認証を受ける

 

●必要書類を同封し、請求先の公証役場に郵送で遺言書謄本の交付請求を申請する

 

●請求先の公証役場から連絡があるので、案内に従って手数料を支払う

 

●入金でき次第、遺言書の謄本と領収書が届く

 

最寄りの公証役場はこちらでご検索ください。

 

署名認証の際に必要な書類は以下の通り、遺言検索の利用時に必要となった書類と同様です。

 

 

〇遺言者の死亡の事実を証明する書類

 

・除籍謄本・死亡診断書のコピー等

 

〇請求者が利害関係人であることを証明する書類

 

・相続人であることがわかる戸籍謄本など

 

〇請求者の身分を証明する書類:

 

・印鑑証明書(発行から3か月以内)および実印

 

・写真付きの本人確認書類(運転免許証など)及び認印

 

のどちらか

 

利害関係人の代理人が請求する場合は、上記の書類に加えて、

 

〇代理人の身分証明書

 

〇委任状(請求者の実印が押印されているもの)

 

〇請求者の印鑑証明書(発行から3か月以内)

 

が必要になります。

 

遺言書の謄本交付請求ができる人

 

利害関係人であれば、遺言書検索の請求ができます。利害関係人とは、相続人・受遺者・遺言執行者などです。

 

また、利害関係人から委任を受けた代理人も請求が可能です。

 

遺言者が生存中の場合には、遺言者本人以外は請求することができません。

 

郵送請求時の必要書類

 

署名認証を受けた申請書

 

署名認証時の必要書類

 

※運転免許証以外はすべて原本

 

※原本還付を希望する場合はその旨を記したメモを同封します

 

返信用レターパック

 

※赤でも青でも可

 

費用

 

遺言書のページ数×250円

 

認証手数料:2500円 ※郵送請求の場合

 

所要時間

 

公証役場での署名認証手続き:大体20-30分くらい

 

遺言書謄本の郵送での交付請求:大体1-2週間くらい

 

注意点

●請求者に謄本交付請求をする権限があるかどうかは交付先の公証役場が判断する

 

→最寄りの公証役場で申請書に署名認証を受けて郵送請求しても、請求が却下されてしまう場合がある

 

●遺言者の生存中は、遺言者本人以外、遺言書の謄本交付請求はできない