法定後見人と違い任意後見人には取り消し権がないのでしょうか

ご質問の通り、任意後見人には、法定後見とちがい取消権がありません。

 

取消権とは、簡単に言うと、本人が後見人の同意を得ずに意思表示をした行為について、後見人があとで取消ができる権利のことです。

 

例えば、判断能力の低下した一人暮らしの高齢者に付け込んで、必要もない布団を何組も売りつけられたとしたら、そのような契約は取消したいですよね。

 

法定後見の場合、取消権が最初から与えられているので、本人が上記のような被害があった時に、ある程度の時間がたっていても(つまりクーリングオフの期間が過ぎてしまっていたとしても)契約を取り消すことが可能です。

 

任意後見の場合は、代理権目録(本人が任意後見人に任せることを定めるリスト)に「紛争の処理に関する事項」やより具体的に「訪問販売、通信販売等各種取引の申込みの撤回、契約の解除、契約の無効、取消しの意思表示並びに各種請求に関する事項」という条項を入れておくことで対処することができます。

 

 

コラム 契約の取消しとクーリングオフ

ある契約をやめる場合に利用できる制度として、民法では〈無効〉〈取消し〉〈解除〉を定めております。

 

〈無効〉はその契約はそもそも最初から無効なので成立すらしていませんよ、と主張できる制度です。

 

〈取消し〉はその契約は成立したけれど、それを有効なままにしておくか、はじめから無かったものとして無効にするかを選ぶことができる制度です。

 

〈解除〉は、契約で解除できる特約を設けている場合やこのような場合には解除できますよと法律で定められている場合(法定解除)に契約を解除できる制度です。

 

無効や取消は、無効原因・取消原因があれば利用できます。

 

クーリングオフはどれにあたると思いますか。

 

答えは、〈解除〉です。解除の中でもあらかじめ特定商取引法や割賦販売法などの法律で定められている法定解除になります。